アニメ「物語シリーズ」のファイナルシリーズである、
『終物語』の第2話「そだちリドル 其の壱」に、
「モンティホール問題」という確率の問題が使われていました。
3通の封筒「a」「b」「c」があり、
「a」を開けたところ、
「『b』の封筒は外れだよ。選択を『c』の封筒に変更する?」
と書かれています。
「選び直そうが直すまいが、確率的には一緒じゃないです?」
と言う扇ちゃんに対して阿良々木くんは、
「回答を選び直すが正解なんだ」
と言って「c」の封筒を開け、地図を発見したのでした。
話の進行上、説明しなくてもいいシーンだったからか、
この「モンティホール問題」の答えが、
「回答を選び直す」
である理由については説明されませんでした。
理由がわからないのでは、
見ていてなんかちょっとスッキリしないですし、
それにやっぱり理由が気になりますよね。
というわけで、
「モンティホール問題」はなぜ、
「回答を選び直す」
が正解なのかを解説したいと思います!
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「モンティ・ホール問題」とは?
そのそも「モンティホール問題」というのは、
以前アメリカで放送されていた「Let’s make a deal」
という名前のゲームショー番組で行なわれていたゲームに由来する問題で、
その番組の司会者の名前がモンティ・ホールさんだったことから、
「モンティホール問題」と呼ばれるようになりました。
【番組で行われていた「モンティホール問題」】
さて、アニメに出てきた封筒の話でそのままいってもいいのですが、
元々の「モンティホール問題」を使って説明した方がわかりやすいため、
番組で行われていたゲームがどのようなものだったのかを説明します。
回答者の前には3つのドアがあり、
そのうちのひとつには新車が、
そのうちのふたつにはヤギ(つまりハズレ)が入っています。
「見事新車を当てることができたらプレゼントしようじゃないか!」
まず、回答者がひとつのドアを選びます。
「このドアだ!このドアに新車が入ってる予感がする!」
するとモンティは、
回答者が選ばなかった2つのドアのうちのひとつ、
ヤギが入っているドアを必ず開けます。
「ほーら、このドアはヤギだったよ~」
選択肢が2つになったところで、
モンティは再度選択を迫ります。
「今選んでいるドアから変更してもいいよ?」
選択を迫られた回答者は、
ドアを変更するか、しないかを決めるのです。
「変えてハズレたら後悔しそうだから、、、変えない!」
そして回答者が最終的に選択したドアが開けられます。
「惜しかったですねぇ。変えておけばよかったのに!」
【「最も高いIQ」とギネスに認定された天才】
マリリン・ボス・サバントというコラムニストがいます。
彼女は「最も高いIQ」を有しているとギネスブックに認定された天才で、
「パレード」というアメリカの雑誌に、
読者から寄せられた様々な質問に答えるコラム
「マリリンに聞く(Ask Marilyn)」
を連載しているのですが、
1990年のとある回で、
読者が「モンティホール問題」について質問した回がありました。
そのときコラムの中でマリリンが書いた解答が、
「回答を選び直す」
であり、これが大きな論争を呼びました。
![マリリンは間違っていると糾弾された](http://tr0000af.com/wp-content/uploads/2018/01/silhouette-2480321_640-e1515143625700.png)
マリリンは間違っていると糾弾された
多くの人の直感では、扇ちゃんと同じように、
「選び直そうが直すまいが、確率的には一緒」
だったのです。
約1万通の反論の投書、約1千人の数学者からの反論に対して、
マリリンはコラム3回分を費やして、
自身の説が正しいことを証明しました(心折れないところが凄い)。
そういった経緯があって散々議論され、
この問題は超有名になってのでした。
一方で、マリリンの説「回答を選び直す」が正しいことがわかり、
多くの回答者が「回答を選び直す」ことになった結果、
自動車を獲得する人が増え、番組は終わってしまったそうです。
(とある人から聞いた話なので、本当かどうかはわかりませんが)
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「モンティホール問題」の答えを解説!
ちょっと前置きが長くなってしまいましたが、
「モンティホール問題」の答えが
「回答を選び直す」
になる理由を解説します!
この問題の考え方のポイントは、
「最初にハズレを選ぶ可能性はいくらか?」
を考えることです。
もうこれだけで解説を終わってしまってもいいぐらいです。
(それではあまりにも不親切なので続きも書きますが)
最初の選択のとき、
・ハズレを選ぶ確率 ⇒ 2/3
次に、モンティがハズレのドアを1枚オープンした後、
ドアを選び直さなかったとき、
・ハズレを選ぶ確率 ⇒ 2/3
それはそうですよね、選び直していないのだから、
アタリである確率は変わらず1/3のままです。
1枚ドアが開けられて選択肢が2つになったからといって、
1/2の確率に変わることはありません。
1/3の確率で選んだドアは1/3の確率のままです。
では、選び直した場合はどうでしょうか。
まずは最初にアタリを選んでいた場合です。
この場合、変更してしまうと“確実に”ハズレのドアを引いてしまいます。
アタリのドアは最初に自分が選んだドアしかないのですから当然ですよね。
次に、最初にハズレを選んでいた場合です。
この場合、変更すれば“確実に”アタリを引くことになります。
最初に自分が選んだドアと、
モンティがヒントとして開いたドア、
この2枚がハズレですから、
残り1枚のドア、つまり変更した先のドアが
間違いなくアタリのドアですよね。
と、いうわけで、
最初にアタリを選んでいる確率は1/3、
最初にハズレを選んでいる確率は2/3でしたから、
ドアを選び直したとき、
・ハズレを選ぶ確率 ⇒ 1/3
全体を整理すると、
アタリを選ぶ確率は、
・ドアを選び直したとき ⇒ 2/3
ですから、
マリリン(と阿良々木くん)が言うように、
「回答を選び直す」
が正しい判断ということになります。
(選び直した方が2倍もアタリを引きやすくなる!)
『混物語』のモンティホール問題
「物語シリーズ」の映画作品『傷物語』の「冷血篇」の
来場者特典で配られた小説「あかりトリプル」にも、
モンティホール問題がネタとして使われています。
![『あかりトリプル』](http://tr0000af.com/wp-content/uploads/2018/01/media-20180105-e1515140676843.jpg)
劇場で配布された『あかりトリプル』
「戯言シリーズ」に出てくる三つ子メイド、
千賀あかり、千賀ひかり、千賀てる子
を使ったモンティホール問題でした。
なかなかトリッキィな趣向、
西尾維新らしい心理戦は、
応用編として、読んで面白い一編でした。
「モンティホール問題」を「三つ子メイド」
に応用しようとしたあたりは、
さすが西尾維新先生、面白い発想だと思いました。
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