先日、
映画館に行ってきました。
観たのは、
アメコミのMARVEL製作の映画
『ブラックパンサー』です。
広告では、
「国王として守るか?ヒーローとして戦うか?」
などと、
ヒーロー=国王というキャッチーな設定が
フィーチャーされていましたが、
それだけにとどまらず、
しっかり作り込まれた世界観で、
MARVEL作品の中では今までにない
メッセージ性、テーマ性の強い作品でした。
ところで、
私はこの映画を「IMAX」で観ました。
IMAXは、
普通の映画よりも500円ほど高い値段で
観られるのですが、
正直、普通の映画と何が違うのか、
よくわからないのではないでしょうか。
わからないと、
「500円高いし、普通のでいいや」
となってしまうと思いますが、
それはちょっともったいないです。
「IMAX」という映画体験は、
IMAXでしか味わうことができません。
そこでこの記事では、
IMAXとは何なのか、
普通の映画とは何が違うのか
について書いていきたいと思います。
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IMAXとは?
まず、
IMAXとはなんなのでしょうか。
Wikipediaから引用してみます。
引用:https://ja.wikipedia.org/wiki/IMAX
つまり、
IMAXとは、
IMAX社という会社が作った規格の映画のことです。
通常の映画との違いは、
Wikipediaに書いてある説明の通り、
より大きなサイズの映像を上映できる
というところにあります。
さて、
なぜIMAXはより大きなサイズの映像を
上映できるのでしょうか?
仕組みについても簡単に解説しておきましょう。
IMAXの仕組み
映画フィルムの話です。
あまり気にしたことはないと思いますが、
映画のフィルムサイズには種類があります。
35mmフィルム
まずは35mmフィルム。
これが最も一般的なフィルムサイズです。
「35mmフィルム」という名前の通り、
フィルム幅が35mmのフィルムです。
35mmフィルムは、
1909年に国際規格に認定された規格で、
世界中ほぼすべての映画館で上映できる
唯一の規格になっています。
このように、
広く普及した背景には、
フィルムの価格と記録できる映像のクオリティが
釣り合っていたためです。
70mmフィルム
次に、
70mmフィルムという規格があります。
35mmの2倍の幅になることから
想像できると思いますが、
70mmは35mmよりも高品質なフィルムです。
ただし、
70mmは35mmとは違い、
どの映画館でも上映できる規格ではないため、
70mmを扱えない映画館で、
70mmフィルムの映画を上映するときには、
70mmフィルムに記録された情報を
いったん35mmフィルムに移してから
上映する必要があります。
IMAX15/70
アイマックスで使われるフィルムも
フィルム幅は70mmです。
しかし、
フィルムの送り方が違います。
IMAXは、
70mmフィルムを水平方向に送るのです。
そうすることで、
通常の70mmフィルムと比べて、
1コマに使うフィルムの面積を広くすることができ、
より細かく精密な映像を記録することができます。
1コマに使うフィルム面積が、
通常の70mmフィルムよりもどれだけ広いかというと、
端的に言ってしまえば3倍です。
もう少しだけ詳しく説明すると、
フィルムには、
パーフォレーションというものがついています。
パーフォレーションとは、
送り穴のことで、
フィルムを送ったり巻き取ったりするためのものです。
通常の70mmフィルムの場合は、
1コマあたり5パーフォレーションです。
これに対し、
IMAX用の70mmフィルムの場合は、
1コマあたり15パーフォレーションなのです。
このことから、
通常の70mmフィルムは、
1コマ=70mm×5パーフォレーション、
IMAX用の70mmフィルムは、
1コマ=70mm×15パーフォレーション、
つまり、
1コマに使うフィルム面積は3倍違うことになります。
また、
「IMAX15/70」というフィルムの名前は、
ここに由来した名称です。
ユニバーサル・スタジオ・ジャパン
このIMAXという規格、
全然馴染みがないと思いきや、
意外なところで使われています。
ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)です。
USJで、
2001年から2016年まで動いていたアトラクション、
「バック・トゥ・ザ・フューチャー・ザ・ライド」は、
実はIMAXを映像として使っていました。
他にも、
科学館のプラネタリウムなどで
IMAXが利用されています。
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IMAXデジタルとは?
IMAXデジタルとは、
デジタル上映方式のこと、
つまり、
フィルムを使わない上映方式です。
IMAXデジタルは2008年から始まり、
日本では、
2009年に109シネマズが初めて
IMAXデジタルシアターを導入しました。
現在日本で観ることができるIMAX映画は、
すべてIMAXデジタルです。
日本でIMAXデジタルシアターを導入しているのは、
109シネマズ、TOHOシネマズ、ユナイテッド・シネマ、シネマサンシャイン、ティ・ジョイ、ヒューマックスシネマ、イオンシネマ、フューレック
です。(2018年3月現在)
IMAXデジタルシアターの魅力
IMAXデジタルシアターの特徴は、
以下の5つの要素で語られます。
・2台のプロジェクタの同時使用
・リアルタイムの映像調節
など
②音響
・6つの専用スピーカ
(TOHOシネマズ新宿など一部は12.1ch)
・高度なチューニングシステム
など
③空間
・大型スクリーンを設置
・客席に近い位置に配置
など
④3D
従来のデジタル3Dと比べて、
輝度2.5倍の鮮明さで映し出す
⑤作品
・「IMAX DMR(デジタル・メディア・リマスタリング)」
つまり、通常撮影後にIMAXバージョンに変換した作品
・IMAX専用カメラで撮影した作品
IMAXデジタルシアターは、
単にIMAXデジタルを上映できるというだけでなく、
IMAXの良さを最大限引き出すための
専用の設備が整った映画館であるということです。
IMAXデジタルシアターは本当に「IMAX」か?
前の項で、
「IMAXデジタルシアターの魅力」
について書きましたが、
これの主に「③空間」に対して、
映画ファンからは不満の声が出ています。
ふたつのポイントにまとめると、
②スクリーンのアスペクト比
です。
スクリーンのサイズへの不満
引用:http://sprocket.eek.jp/monthsp/imax002.html
2016年9月に閉館してしまいましたが、
世界最大のIMAXシアターは、
オーストラリアのシドニーにありました。
スクリーンのサイズは、
横35.73m×縦29.42mです。
大き過ぎて想像できませんよね。
ビルで考えると、
1フロアの床から天井までの高さが3mであれば、
おおまかに計算して、
36÷3=12
ビル12階分の高さになります。
信じられないぐらい大きなスクリーンだということが
おわかりいただけたと思います。
IMAXは、
このシドニーのスクリーンサイズまでいかなくても、
通常よりも大きなスクリーンで楽しむものなのです。
IMAXは通常の映画フィルムよりも
精密な映像を記録できるため、
大きなスクリーンに映し出しても、
画像が粗くなりません。
そのため、
大きなスクリーンに映し出して楽しめるということが、
通常の映画との差別化になる、
つまり、
IMAXを生かせるウリのひとつなのです。
それでは、
日本のIMAXデジタルシアターの
スクリーンサイズのお話をしましょう。
と言いたいところですが、
実は、
日本のほとんどのIMAXデジタルシアターの
スクリーンサイズは公表されていません。
なので、
おおまかな目測、推測になります。
横20m程度×縦10m程度
です。
「TOHOシネマズ 六本木ヒルズ」の
IMAXではない通常映画用の
最も大きいスクリーンのサイズが「SCREEN 7」の
20.2m×8.4m
ですから、
さほど変わらないサイズです。
IMAXデジタルのためのシアターと言いつつ、
スクリーンサイズの違いはこんなものなのです。
そもそも、
今日本にあるIMAXデジタルシアターは、
元々あったシネコンの中のシアターのひとつを
改造しただけの
「IMAX MPX(マルチプレックス)」
と呼ばれるものです。
つまり、
改造前のシアターの箱のサイズが上限としてあって、
その中に収まるスクリーンサイズにせざるを得ません。
また、
IMAXデジタルシアター用に建物を新築した場合も
それほど大きなスクリーンは設置できません。
「成田HUMAXシネマズ」は、
IMAXデジタルのための新築で、
国内最大級のIMAXデジタルシアターですが、
それでもスクリーンサイズは、
横24.5m×縦14m
です。
なぜ新築なのに、
もっと大きなスクリーンにしなかったのでしょうか。
当時はこのサイズが、
デジタル2K映写機の表示限界だったためです。
しかし、
デジタルではなく、フィルムのIMAXの時代は、
もっと大きなスクリーンサイズでした。
今はすべてIMAXデジタルになってしまいましたが、
以前は、
日本にも映画のためのフィルムのIMAXシアターがあったのです。
中でも最大級のスクリーンサイズだったのは、
「ユナイテッドシネマ札幌」です。
横27m×縦20m
と、かなりのサイズです。
東京では、
「高島屋東京IMAXシアター」が最大で、
横25m×縦18m
ありました。
この規模のIMAXを体験している人たちにとっては、
現在のIMAXデジタルシアターの
スクリーンの規模感は、
「これって、IMAXなの?」
という印象になってしまいます。
スクリーンのアスペクト比への不満
スクリーンには、
アスペクト比というものがあります。
アスペクト比とは、
スクリーンの横、縦の長さの比率です。
IMAXの本来のアスペクト比は、
1.43:1
です。
そのため、
IMAXを上映するときは、
1.43:1のスクリーンに映し出すべきなのです。
しかし、
IMAXデジタルシアターのスクリーンのアスペクト比は、
ビスタサイズと呼ばれる「1.85:1」か、
シネスコサイズと呼ばれる「2.35:1」
になっています。
そのため、
IMAXデジタルシアターでは、
IMAXのオリジナルの映像の上下を切り取って、
スクリーンのサイズに合わせて上映しています。
つまり、
IMAX本来の映像を
楽しんでいることにはならず、
通常の映像サイズで、単に映像がキレイなだけ、
になってしまっているのです。
「これはIMAXなのか?」
という疑問を持って当然ですよね。
次世代IMAXシアター
「IMAXデジタルシアターは本来のIMAXの楽しさを
引き出せていないのではないか」
という疑問について書いてきました。
この疑問を乗り越えるIMAXが、
次世代IMAXシアターとして
2015年に大阪に開館しました。
現在日本にある次世代IMAXシアターは、
「109シネマズ大阪エキスポシティ」だけですが、
2019年には池袋で開館予定のシネコンにも、
導入される予定です。
これまでのIMAXデジタルシアターと
この次世代IMAXシアターとはどこが違うのかは、
3つのポイントにまとめることができます。
天井にまでスピーカを設置
(IMAXデジタルシアターは
音響設備がシアターごとでまちまち)
②「IMAX with LASER」のプロジェクタ
4Kの映写が可能
(IMAXデジタルシアターは2Kの映写だったため、
映像がより細かく、より精密に)
③1.43:1のアスペクト比のスクリーン
映像の上下を切ることなく、
本来のIMAXの1.43:1の映像が楽しめるスクリーン
(IMAXデジタルシアターはビスタかシネスコで、
映像の上下が切れていた)
ちなみに、
「109シネマズ大阪エキスポシティ」の
スクリーンサイズは、
横26m×縦18m
で、国内最大級のIMAXデジタルシアターである
「成田HUMAXシネマズ」の
横24.5m×縦14m
を超えるサイズです。
次世代IMAXシアターで体験するIMAXが、
本来のIMAXの実力なのです。
おわりに
ここまでまとめてきた内容から、
本来のIMAX体験をするためには、
次世代IMAXシアターに行くしかない
ということになります。
ただ、
IMAXデジタルシアターも
行ってみる価値はあります。
次世代IMAXシアターよりは劣りますが、
それでもIMAXの凄さの片鱗を味わうことはできますし、
従来の映画と比べれば、
映像も音響も良く、
映画の中にいるような没入感も
多少なりとも感じられます。
是非一度、
普通の映画ではなく、
IMAXを体験してみてください!
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