六本木ヒルズの森アーツセンターギャラリーで
「THE ドラえもん展 TOKYO 2017」
という企画展が開催されています。
その展示スペース内の一角に飾られていた会田誠さんの作品が、
なんだかとっても気になる作品でした。
その名も、
「キセイノセイキ~空気~」。
「キセイノセイキ」って、どういう意味なんだろう?
日本語のようで日本語でないような、
意味がありそうで、なさそうな、
なんとなくわかりそうで、やっぱり全然わからない、
そんな不思議なタイトルの意味を調べてみました。
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「キセイノセイキ」の意味とは?
その絵は、日本一有名なお風呂場(たぶん)である、
源家(しずかちゃんち)のお風呂場を描いたものです。
肩から胸の辺りに当たったシャワーの水が、
ボディラインに沿って、床に向かって流れています(エロティックです)。
しかし、そのシャワーを浴びている人が誰なのかはよくわかりません。
だって、その人、透明なんだもの。
いや、しずかちゃんで間違いないでしょう。
このお風呂場、間違いなくしずかちゃんちのお風呂ですし。
このボディラインは間違いなくしずかちゃんですし(変態)。
で、なんでこの絵のタイトルが
「キセイノセイキ~空気~」
なんでしょうか。
絵との繋がりが全く分かりません。
悔しいので、家に帰ってからも考えてみたのですが、
全く分かりません(芸術の才能なし)。
【「キセイノセイキ」=「規制の世紀」】
考えてもわからなかったので、諦めて調べてみました。
するとすぐにわかったのが、
「キセイノセイキ」=「規制の世紀(性器)」
であるということです。
今の時代は、「表現の自由」に対して何かと「規制」がかかり、
自主「規制」をかける時代です。
特に性表現に関しては、もちろん児童ポルノなんかになると尚更。。。
「キセイノセイキ」は、
こんな世の中に対する皮肉と茶化しが込められているのです。
「キセイノセイキ」の後にくっついている「~空気~」は、
「時代の空気」や「空気を読む」の「空気」と同じ意味なのかもしれません。
ちなみに、会田誠さんは自身のTwitterで、
このタイトルに関して簡単な解説を書いています。
小ネタのギャグ作品であります。/ドラえもん展で初めて現代美術に触れるようなお客さんに対して、さらなる「奥座敷」に誘導する試みでもあります。@makotoaida
— 会田誠 (@makotoaida) 2017年11月3日
※「ハイコンテキスト」というのは、文脈(コンテキスト)の抽象度が高いことです。つまり、察するのがちょっと大変というぐらいの意味です。
また、会田誠さんはギャラリーショップに売っている「公式図録」の中で、
「強いて言いますと、コンセプチュアルであることが常態である現代美術の典型的な流儀くらいは、現代美術に詳しくないお客さんにも、わかりやすく示せたかな、と」
と語っています。
小難しい日本語です。
「コンセプチュアル」というのは「概念的」という意味ですから、
ざっくりと言い換えると、
「現代美術っていのうは概念的な表現なのだけれど、
そういう現代美術“らしさ”ぐらいはわかりやすく示せたのではないか」
ということです(たぶん)。
【使われている表現・技法】
作品タイトルには関係のない話になりますが、
この絵は「留守模様」と呼ばれる表現です。
「留守模様」とは日本美術の用語で、
人物自体は描かずに、その人物を象徴するものだけを描く表現技法です。
こうすることで対象の人物を想像させる楽しさを与え、
その人物の存在感をより強く演出できる効果があります。
「透明性や流動性のある油絵具の性質を利用した」
というコメントが展覧会カタログにあるため、
しずかちゃんを絵が描かなかったのには、
この辺りにも理由がありそうです。
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「キセイノセイキ展」とは?
先程引用した会田誠さんのTwitterに出てきた、
「キセイノセイキ展」
とは何なのかを簡単に説明しておきたいと思います。
正式には、
「MOTアニュアル2016 キセイノセイキ」
という企画名です。
東京都現代美術館で開催された企画展で、
イベント公式ページではこの企画展の趣旨を以下のように説明しています。
(現在はイベントが終了したため、公式ページは閉鎖)
こういった趣旨で開催されることとなったにもかかわらず、
この企画展のために制作された小泉明郎さんの作品
「空気」
は自主規制という形で展示が取り下げられました。
会田誠さんはこの企画展、この出来事から
「タイトルとアイデアをもらいました」
と言っているのです。
なぜ展示されなかったのか、
そこにはどのような問題があるのか、
展示されなかった作品はその後どうなったのか、
などについては、
・小泉明郎展「空気」
・椹木野衣が見た小泉明郎の個展「空気」
を読んでいただければ詳しく書かれています。
「THE ドラえもん展 TOKYO 2017」に行ってみよう
今回紹介した会田誠さんの作品「キセイノセイキ~空気~」は、
「THE ドラえもん展 TOKYO 2017」で展示されています。
この企画展は、六本木ヒルズ、森ビルにある美術館、
森アーツセンターギャラリーで開催されています。
開催期間は2017年11月1日~2018年1月8日までです。
もう間もなく終わってしまうので、
興味がある方はお早めにどうぞ!
ちなみに開館時間は10:00~20:00までです。
この企画展には国内外で活躍する28名の現代美術家が
「ドラえもん」をお題に制作した作品が展示されています。
今回紹介した会田誠さんも有名な現代美術家ですが、
アニメやフィギュアなどのサブカル系の題材を用いた作品で有名な村上隆さん、
映画「ヘルタースケルター」の監督で、蜷川幸雄さんの娘である蜷川実花さん、
きゃりーぱみゅぱみゅのライヴやMVの演出を手がける増田セバスチャンさん、
など誰もが知っているアーティストも参加しています。
「ドラえもん」の展示と言えば、
川崎市にある「藤子・F・不二雄ミュージアム」が有名ですが、
それとはまた違った切り口の「ドラえもん」、
つまり、藤子・F・不二雄さんとは違った視点からの、
ここでしか見られない現代美術家視点の「ドラえもん」が見られて、
これはこれで非常に面白いのでオススメです。
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