「大航海時代」というと、
私がまず最初に連想するのは漫画『ワンピース』です(世代ですかね)。
『ワンピース』は、
主人公ルフィが、仲間とともに航海に出る物語ですが、
その最大の目的は、
「ひとつなぎの大秘宝」を見つけ出すことです。
この物語に出てくる海賊たちは、
この「ひとつなぎの大秘宝」のために、
危険を承知で、出なくてもいい海に出たわけです。
(厳密に言うと少しニュアンスが違いますが、大まかに言えばです)
さて、
私たちが生きているこの現実の世界でも、
「大航海時代」は存在しました。
この現実の世界で航海に出た人々の目的は、
もちろん「ひとつなぎの大秘宝」ではありません。
しかし、
彼らもルフィたちと同じように、
とある“探し物”をしていました。
それが、
「プレスター・ジョン」
です。
(プレスター・ジョンは人なので、“探し人”ですね)
さて、
人々を航海に駆り立て、
大航海時代の幕開けに導いた、
「プレスター・ジョン」とは、いったい何者なのでしょうか?
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授業で習った大航海時代の目的
「プレスター・ジョンなんて、授業で習ってないぞ」
と、疑問に感じると思いますので、
まずは、
授業で習った大航海時代の目的のおさらいから始めたいと思います。
香辛料の貿易
大航海時代の目的として、
多くの人の記憶に残っているものは香辛料だと思います。
香辛料とは、主にコショウのことですが、
当時のヨーロッパでは、
コショウは今では考えられないほどの高値で取引されていました。
コショウ1オンスが、金1オンスと同じぐらい価値があったのです。
つまり、
コショウは、同じ重さの金と交換できたということです。
当時、
コショウが飛ぶように売れた理由は、
その機能性です。
コショーは、
香りづけや臭み消しに使うことができ、
防腐作用もあるため、
秋にシメた家畜の肉を保存して、
冬に食すときなどに重宝したのです。
また、
香辛料が貿易に向いていた理由としては、
香辛料は重量が軽いため、
楽に輸送することができる、ということがあります。
これは確かに、
大航海時代のひとつの目的であったことは間違いありません。
当時、
この貴重な香辛料を手に入れるためには、
イスラム商人から高値で買うしかなく、
自分たちが儲けるために、
イスラム商人を介さない別ルートを模索する必要もありました。
しかし、
大航海時代の幕開けを飾ったポルトガルとスペインは、
約100年もの間、アフリカ大陸を探検し続けました。
香辛料があるのは、
アフリカ大陸ではなく、アジアであるとわかっていながらです。
その理由は、
香辛料からは説明することができません。
キリスト教圏の拡大
大航海時代が幕を開ける頃、
ヨーロッパはレコンキスタが起こっていました。
レコンキスタとは、
キリスト教国がイスラム教国から国土を奪還する運動のことで、
「国土回復運動」や「再征服活動」などと言われます。
スペインやポルトガルはこのレコンキスタによって生まれた国です。
こういった背景もあり、
これらの国には
「キリスト教圏をどんどん拡大していくのだ!」
というモチベーションがありました。
スペインやポルトガルが
アフリカ大陸に入っていった理由のひとつは、
このキリスト教圏拡大という目的でした。
船には必ず宣教師を乗せ、
時にはローマ教皇自ら手紙を書くというほどの力の入れようでした。
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プレスター・ジョンとはいったい何者か?
さて、
ここでようやくプレスター・ジョンの説明に入っていきます。
まず、
プレスター・ジョンとは、
アフリカ大陸の奥地に存在すると考えられていた、
非常に優れたキリスト教の王様のことです。
そう、
アフリカ大陸にいると考えられていたのです。
おそらくこれが、
スペイン・ポルトガルが約100年間もアフリカ大陸を探検し続けた本当の理由です。
先ほど、
アフリカ大陸に入っていった理由として、
キリスト教圏の拡大があると書きました。
実は、
キリスト教国は、
アフリカ大陸でのキリスト教圏拡大に手こずります。
ヨーロッパでは、十字軍運動が展開されていた12世紀頃から、
遠く離れた地にいるプレスター・ジョンが、
イスラム教国と戦うキリスト教国を助けるためにやってくる、
という伝説が信じられていました。
この伝説を信じ、
アフリカ大陸にプレスター・ジョンを探しに行ったというわけです。
しかし、
約100年探しても見つからず、
伝説は、ただの伝説であったことを知ることになります。。。
「伝説を信じて100年も探し回るなんてアホだ」
と一概に言うことはできません。
「キリスト教圏を拡大したい」
「プレスター・ジョンを見つけたい」
こういったモチベーションがなければ、
このタイミングでスペインやポルトガルが海に繰り出すことはなく、
大航海時代の到来はもっともっと先の話になっていたかもしれないのですから。
たとえ夢物語であったとしても、
それを本気で信じて行動した先にしか、
新しい世界は開けてこないのだと、
この話を知ったとき、私は思いました。
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