将棋に関するニュースを見ていると、
意味を知らない言葉が出てきます。
「佐藤天彦名人」や「渡辺明竜王」など、
聞きなれない呼称、
「王位戦」や「王座戦」など、
違いがわからない数々のタイトル名、
「八大タイトル」とは何なのか、
羽生善治さんが獲得した「永世七冠」の意味、、、
こうした、
わかりそうでわからない将棋界の用語は、
将棋のタイトルの種類がわかれば、
スッキリわかります。
そこで、
将棋のタイトルの種類を、
ニュースなどでよく聞く「八大タイトル」を中心に
まとめていきたいと思います!
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「八大タイトル」とは?
八大タイトルとは、
以下の8つのタイトルのことを指します。
②「名人戦」(めいじんせん)
③「叡王戦」(えいおうせん)
④「王位戦」(おういせん)
⑤「王座戦」(おうざせん)
⑥「棋王戦」(きおうせん)
⑦「王将戦」(おうしょうせん)
⑧「棋聖戦」(きせいせん)
①~⑧と番号を振りましたが、
これは、
一般的に言われているタイトルの序列で、
上から賞金額が多い順に並んでいます。
ただし、
歴史的な面も加味すると、
最も歴史が古い名人戦と、最も賞金額が大きい竜王戦とは、
どちらが格上のタイトルなのか、
将棋ファンの間では意見が分かれるところです。
どちらにしても、
「竜王戦」「名人戦」のふたつは、
八大タイトルの中でも“別格”ということにはなります。
他にも、
タイトルに関する歴史的な話をすると、
③の「叡王戦」というのは、
2017年にタイトル戦に昇格した、最も新しいタイトル戦です。
叡王戦がタイトル戦に昇格する前までは、
その他の7つのタイトルを「七大タイトル」と呼んでいました。
叡王戦が増えて、「八大タイトル」になったというわけです。
称号について
八大タイトルのそれぞれの勝者には、
それぞれ称号が与えられます。
聞いたことがあるかと思いますが、
「佐藤天彦名人」「渡辺明竜王」
など、
タイトルを持っている棋士に対しては、
名前の後にその称号を付けて呼ぶ習わしです。
ただし、
タイトルを複数持っている場合、
呼び方に細かなルールがあります。
⇒○○竜王
②名人と他のタイトルを所持している場合
⇒○○名人
③竜王と名人を両方所持している場合
⇒○○竜王・名人
(竜王と名人以外にもタイトルを持っている場合も含む)
④竜王と名人以外の複数のタイトルを所持している場合
⇒(α個の場合)○○α冠
そのため、
「○○名人」と呼ばれていても、
所持しているのは名人戦のタイトルだけでない場合もあります。
「永世」ってなに?
「永世」とは、
同一タイトルを一定の期間、
もしくは一定の回数獲得した棋士に与えられる称号のことです。
八大タイトルの中では、
「叡王戦」のみ、永世称号の設定があるかどうか自体未発表です。
(2018年2月現在)
その他の7つのタイトルには、永世称号があります。
(王座戦のタイトルのみ「名誉」と呼ばれます)
★永世名人 ⇒ 通算5期
★永世王位 ⇒ 連続5期または通算10期
★名誉王座 ⇒ 連続5期または通算10期
★永世棋王 ⇒ 連続5期
★永世王将 ⇒ 通算10期
★永世棋聖 ⇒ 通算5期
羽生善治先生は、
2017年に永世竜王に就任し、
永世七冠となりました。
つまり、
この7つのタイトル全てで永世に就任したのです。
もちろん、
そんな人は歴代で羽生善治先生ただ一人です。
また、
羽生善治先生は、
史上唯一の七冠独占も達成しています。
1996年のことです。
当時はまだ叡王戦がタイトル戦ではありませんでしたから、
七大タイトル全ての勝者となったということです。
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八大タイトルを比べてみる!
八大タイトルのタイトル名はわかりました。
次に、
八大タイトルそれぞれの情報をまとめ、
特徴を比較してみたいと思います!
竜王戦とは?
★初回開催:1988年
★持ち時間:8時間(二日制)
★番勝負 :7番勝負
★推定賞金:4300万円
★主催 :読売新聞社
竜王戦の特徴と言えば、
タイトル戦の中でも突出して高い賞金額です。
この竜王戦にめっぽう強い棋士と言えば、
渡辺明永世竜王です。
永世竜王の称号を持っているのは、
2018年2月現在では、
羽生善治先生と渡辺明先生ふたりだけです。
その渡辺明先生は、
最大で9期連続で竜王を名乗り続けたほど、
竜王戦に強い棋士です。
しかし、
竜王戦ではこれほどの強さを誇っているのにもかかわらず、
名人戦では挑戦者にすらなったことがないのです。
それはなぜか?
理由は簡単で、
ルールが違うからです。
タイトルによって、
持ち時間も、何番勝負かも違うのです。
特に持ち時間については、
時間がなくなってきた終盤に、
どれぐらい長考できるかに関わってきます。
こうした違いによって、
得意なタイトル、不得意なタイトルが生じてしまっているようです。
名人戦とは?
★初回開催:1937年
★持ち時間:9時間(二日制)
★番勝負 :7番勝負
★推定賞金:2000万円
★主催 :毎日新聞社/朝日新聞社
名人戦は、
八大タイトルの中で最も古い歴史を持つタイトルで、
そのルーツは江戸時代までさかのぼります。
八大タイトルの中でも、
竜王戦と並んで特に権威があるタイトルです。
竜王戦との比較で言うと、
名人戦は、
竜王戦の持ち時間が8時間であることに対して、
名人戦の持ち時間は9時間であるため、
名人戦は竜王戦に比べて、
終盤でも長考ができるタイトルになっています。
また、
名人戦は、
2002年から2015年までの14年もの間、
羽生善治先生か森内俊之先生のどちらかしか
名人の座につきませんでした。
それを見て、
日本将棋連盟の谷川浩司会長が
「羽生森内は春の季語にしてもいい」
と言ったというエピソードが残っています。
この羽生・森内の二人体制は、
2016年に佐藤天彦先生が破ることとなりました。
叡王戦とは?
★初回開催:2018年
★持ち時間:1,3,5,6時間
★番勝負 :7番勝負
★推定賞金:2000万円
★主催 :ドワンゴ
叡王戦は、
タイトル戦に昇格したのが2017年で、
最も新しいタイトル戦です。
八大タイトルの中では唯一、
主催がIT関連企業で、新聞社以外です。
特徴的なのは、変則持ち時間制です。
変則持ち時間制とは、
Wikipediaによると以下のような制度です。
引用:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8F%A1%E7%8E%8B%E6%88%A6
最も新しいタイトル戦ということもあって、
ルールも今までにない斬新なものになっており、
面白いタイトルです。
王位戦とは?
★初回開催:1960年
★持ち時間:8時間(二日制)
★番勝負 :7番勝負
★推定賞金:1000万円
★主催 :ブロック紙3社連合
夏と言えば王位戦です。
最も暑い時期に行われるタイトル戦になります。
主催は「ブロック紙3社連合」となっていますが、
具体的な新聞社名を挙げると、
北海道新聞社、中日新聞社、西日本新聞社、神戸新聞社、徳島新聞社
です。
ちなみに、
ブロック紙とは、
販売する地域が、複数の都府県(ブロック)にまたがる地方紙のことです。
一般的には「ブロック紙3社連合」というと、
北海道新聞社、中日新聞社、西日本新聞社の3社を指します。
王位戦ではこの3社に加えて、
神戸新聞社、徳島新聞社も主催に入っているということです。
王座戦とは?
★初回開催:1983年
★持ち時間:5時間
★番勝負 :5番勝負
★推定賞金:800万円
★主催 :日本経済新聞社
夏の終わりにやってくるのが王座戦です。
王座戦に関するエピソードと言えば、
またまた羽生善治先生に関するものです。
羽生先生は、
1992年から、2011年に渡辺明先生に敗れるまで、
19年連続で王座に君臨し続けるという尋常じゃない記録を持っています。
棋王戦とは?
★初回開催:1975年
★持ち時間:4時間
★番勝負 :5番勝負
★推定賞金:600万円
★主催 :共同通信社
2018年2月の現在、
永世棋王の称号を持っているのは、
羽生善治先生と渡辺明先生のふたりのみです。
棋王戦の連覇記録は、
これまた羽生先生が持っており、
1990年から2001年までの12年連続です。
王将戦とは?
★初回開催:1951年
★持ち時間:8時間(二日制)
★番勝負 :7番勝負
★推定賞金:300万円
★主催 :スポーツニッポン新聞社/毎日新聞社
新年を迎えて行われるタイトル戦が王将戦です。
棋聖戦とは?
★初回開催:1962年
★持ち時間:4時間
★番勝負 :5番勝負
★推定賞金:300万円
★主催 :産経新聞社
タイトルの名前になっている「棋聖」は、
本来は才能ある将棋指しへの尊称として使われていた言葉です。
江戸時代末期に活躍した天才棋士、
天野宗歩(あまのそうほ)が棋聖と呼ばれたことが始まりで、
それが後に公式の称号として認められました。
八大タイトルの比較表
ここまで、
八大タイトルをひとつひとつ見てきました。
最後に、
比較しやすいように八大タイトルを表にまとめました。
表にまとめてみると、違いは一目瞭然です。
今まで、
「何が違うの?」
と思っていた八大タイトルについて理解が深まり、
これで、よりニュースを楽しめるのではないでしょうか。
一年中何かしらのタイトル戦が行われていますから、
タイトル戦を見て季節を感じたり、
逆に季節からタイトル戦を思い出してみたりできるようになると、
自分にとって将棋が身近になってきた証拠かなぁと思います。
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