カルチャー

芥川賞・直木賞の2017年下半期受賞作が決定!話題作「ふたご」は!?

投稿日:2018-01-17 更新日:

芥川賞・直木賞

2018年1月16日に、
第158回「芥川龍之介賞」「直木三十五賞」
の受賞作が発表
されました。

これらの賞は略して、
「芥川賞」「直木賞」と呼ばれることが多い賞ですが、
どちらも1935年から続く、歴史ある賞です。

設立当初は、
遠藤周作さんが「ショウではなくてほんとに賞だった」
と言ってしまう程度の話題性の低さだったようですが、
最近は、
2015年上半期に
又吉直樹さんが「火花」で芥川賞を受賞したときなんかは
本当に盛り上がりましたし、
今では、
「賞にとどまらず、ショウ(show)」
と言えるぐらい話題性のあるイベントとなっています。

今、「上半期」という言葉を出しましたが、
「芥川賞」「直木賞」ともに、年二回発表される賞で、
今回の第158回は、2017年下半期分の賞です。
(発表が2018年に入ってからなのでわかりづらいですが。。。)

それでは、
今回の受賞作とノミネート作、
あとは話題になっていた
ロックバンド「SEKAI NO OWARI」のSaoriこと、
藤崎彩織さんの「ふたご」についてもまとめていきます!

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第158回の受賞作は?

第158回「芥川賞」「直木賞」の選考会は、
東京・築地の「新喜楽」という料亭で行われ、
その後、帝国ホテルの会場で発表、授賞式が行われました。

帝国ホテルでの受賞作発表と、
受賞した作家の会見は、以下の動画で見られます。
(ただし、ノーカットなので2時間以上もあります。映画かよ。。。)

「芥川賞」の受賞作

石井遊佳さん「百年泥」

 
若竹千佐子さん「おらおらでひとりいぐも」

石井遊佳さんは大阪府生まれですが、現在はインド在住です。
そのため授賞者会見には電話で参加しています。
小説を書き始めたのは大学時代で、
これまで100作以上書いてきたそうですが、
今回受賞した「百年泥」がデビュー作です。
(これだけ時間がかかっても、
小説家になりたいという気持ちは変わらなかったそうです)

「百年泥」は自らの思いとは反し、チェンナイで日本語教師をすることになった女性が100年に一度という洪水に遭う。そして濁流に流され、積み重なった泥から現れたものにまつわる出来事を追体験する、という不思議な味わいの作品だ。
※https://www.asahi.com/articles/ASL1H4R2QL1HUEHF007.htmlより引用

若竹千佐子さんは岩手県出身の63歳で、史上二番目の年長受賞です。
旦那さんがなくなった後、小説講座に通い始め、
その後作家としてデビューして3か月で受賞しました。
「おらおらでひとりいぐも」は第54回文藝賞も受賞しています。

「おらおらでひとりいぐも」は、15年前に夫が亡くなり、子どもも家を出て一人暮らしをする74歳の主婦桃子さんが主人公。孤独と衰えを前向きにありのままとらえ、老年だからこその自由さを描いた。自分の中からわき出る複数の思考を、岩手弁で重層的に繰り出すように語り、地の文では標準語を使ったメリハリのある文体。積極的に生きる主人公の姿勢がテンポ良く展開する。題名は宮沢賢治の詩「永訣の朝」の一節と同じだが、意味は逆で「私は私で独り生きていく」という気持ちを込めた。
※https://www.asahi.com/articles/ASL1H4R2QL1HUEHF007.htmlより引用

「直木賞の受賞作」

門井慶喜さん「銀河鉄道の父」

門井慶喜さんは群馬県生まれ、大阪府在住の46歳です。
2003年「キッドナッパーズ」という作品で、
第42回オール讀物推理小説新人賞を受賞してデビューしました。
東京帝大叡古教授」「家康、江戸を建てる
二度「直木賞」候補になり、
今回受賞した「銀河鉄道の父」は三回目の候補作です。

「銀河鉄道の父」は、国民的作家、宮沢賢治とその家族の生涯を、父政次郎の視点から書いた。岩手・花巻で質屋を営む政次郎は、明治生まれの父親らしく厳しくあろうとする一方、夢を追い続ける賢治を隠しきれない愛情で支える。天才だが、社会的能力に欠ける子を愛憎の念を持って育てるという、現代の父親にも通じる思いを描き出している。
※https://www.asahi.com/articles/ASL1H4R2QL1HUEHF007.htmlより引用

 
今回の受賞作3作品のうちの2作品が
宮沢賢治関連
というのもなかなかおもしろいですね。

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第158回の候補作は?

受賞作以外の候補作を紹介します。

芥川賞の候補作

★★★木村紅美さん「雪子さんの足音」★★★

  
★★★前田司郎さん「愛が挟み撃ち」★★★

  
★★★宮内悠介さん「ディレイ・エフェクト」★★★

直木賞の候補作

★★★彩瀬まるさん「くちなし」★★★

  
★★★伊吹有喜さん「彼方の友へ」★★★

  
★★★澤田瞳子さん「火定」★★★

  
★★★藤崎彩織さん「ふたご」★★★

受賞を逃した話題作

藤崎彩織さんは「SEKAI NO OWARI」のメンバーで、
Saoriとしてピアノを担当しています。
今回、本名で出した初めての小説で直木賞候補になりました。

「ふたご」は、孤独な少女が繊細で不良めいた少年と出会い、互いに傷つけ、ひかれあいながらも、音楽を通して自分たちの居場所を見つけてゆく。まだ何者でもない不安や葛藤を素直な言葉でつづった。デビューまでの自身の経験と重なるようにも読める長編小説だ。
※https://www.asahi.com/articles/ASL1H4R2QL1HUEHF007.htmlより引用

かなり話題にはなっていましたが、今回は惜しくも落選してしまいました。
ただ、直木賞選考委員のひとりである作家の伊集院静さんは、

「藤崎さんは才能があって、感性もある。ただ、初めての作品ということで小説の形としては完成度が足りないんじゃないか」
  
「真実であるようなことが書かれている。あるものをそのまま書くと物語はきれいに見えるが、物事があいまいになって見えなくなる。ただ、最初に書いた作品としては非常に才能があるという評価がありました」
  
「彼女は素晴らしい楽曲に出会ってきたと思うけど、今後は素晴らしい小説に出会うといい。素晴らしい才能です。音楽業界の方が芸人より純粋だったということでしょうね。物の見方に才能を感じた。まっすぐ見ようという前向きなところが感じられるのが良かったと思う」
  
「藤崎さんが小説がいかに面白いか気づかれたら、もっと素晴らしい作家になると思う。音楽より作家の方がいいと思う。作家には解散はありませんし、世界が終わるということもありませんから。これまでに素晴らしい楽曲と出会ってきたように、素晴らしい小説と出会うと、もっと素晴らしい作家になれると思う」

  
※https://news.infoseek.co.jp/article/20180117hochi080/ と
https://news.infoseek.co.jp/article/20180117hochi080/?p=2より引用

と、今後に期待を込めるようなコメントをしています。
読者としても、今後も書き続けてほしいな、と思うところです。
  
又吉直樹さんのときもそうでしたが、
こういった知名度の高いタレントが小説を書くことが、
これまで小説を全然読んでこなかった人たちが本を手に取る機会となって、
そういった人たちに小説の世界が開けていくことは非常にいいことだなぁと、
いち小説愛好家の私なんかは思うのです。

※この記事に関連して、
芥川賞と直木賞の違いをわかりやすく表にまとめてみた!
という記事も書いていますので、
気になる方は是非こちらも読んでみてください。

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