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ビュールレとは?至上の印象派展に行く前に知っておきたい5つのこと

投稿日:2018-01-20 更新日:

天使の彫刻

『至上の印象派展 ビュールレ・コレクション』
という展覧会が開催されます。

かなり注目度が高く、
一部の前売り券は早々に売り切れてしまっています。

ルノワール、セザンヌ、ゴッホ、モネ、マネ、ドガ、ゴーギャン、ピカソ、、、
などなど、
美術にそれほど詳しくなくても聞いたことがある画家の名前がずらりと並んでいます。

「なんだか、凄そう」
と思う反面、なんだかよくわからない部分も沢山あるのではないでしょうか?

まず、
展覧会名が実際よくわかりませんよね。
「ビュールレ」や「印象派」と言われても、
ほとんどの人は説明できない
と思います。

あとは、
ポスターになっている「少女」と「少年」の絵、
あの絵についてももう少し知ってから展覧会に行きたい
ですよね。

というわけで、
これらの疑問に答えるべく、記事を書いていきたいと思います!

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『至上の印象派展 ビュールレ・コレクション』とは?

まず、
至上の印象派展 ビュールレ・コレクション
という展覧会の名前を紐解いていきましょう。

「印象派」というのは、誰もが聞いたことはあると思いますが、
実際のところ、どんな絵画のことを「印象派」と言うのでしょうか?

そして、
「ビュールレ」という言葉は、ほとんどの人は聞いたことすらないと思います。
「ビュールレ」とは、一体なんなのでしょうか?

ビュールレとは?

「ビュールレ」とは、人の名前です。

フルネームは「エミール・ゲオルク・ビュールレ」で、
彼はドイツに生まれ、後半生をスイスで過ごした実業家でした。

ビュールレ

ビュールレ(http://www.buehrle2018.jp/highlightsより転載)

彼が集めた美術品、
そしてそれを展示しているスイスのチューリッヒにある美術館のことを
ビュールレ・コレクション」と呼びます。

また、
「ビュールレ・コレクション」は、
「世界で最も優れたフランス印象派絵画のプライベート・コレクション」
と言われています。

つまり、今回「至上の印象派展 ビュールレ・コレクション」で展示されるのは、
たったひとりの実業家ビュールレが集めた、
フランス印象派絵画のコレクション
なのです。

世界的な大ニュースとなった盗難事件

2008年2月10日、
ビュールレ・コレクションから絵画が盗まれるという大事件が起きました。

武装した強盗団によって盗まれた絵画は4点。

『赤いチョッキの少年』(1894/1895) ポール・セザンヌ
『ルピック伯爵と娘たち』(1871) エドガー・ドガ
『ヴェトゥイユ近辺のひなげし』 (1879) クロード・モネ
『花咲くマロニエの枝』(1890) フィンセント・ファン・ゴッホ

これら4点の絵画の価値を合計すると、
なんと1億8000万スイスフラン日本円にして約175億円です。

これらの盗まれた絵画のうち、
ヴェトゥイユ近辺のひなげし』と『花咲くマロニエの枝』は
同じ2008年の2月18日にチューリッヒ市内の駐車場で発見され、
赤いチョッキの少年』は2012年4月12日に、
強奪に関与した容疑者を逮捕した際に発見されました。

そして、残る一枚、
エドガー・ドガの『ルピック伯爵と娘たち』は、
未だ行方不明のままです。

今回の展覧会では、
ポール・セザンヌの『赤いチョッキの少年』と、
フィンセント・ファン・ゴッホの『花咲くマロニエの枝』が
展示されることは公式HP上から明らかになっています。

『赤いチョッキの少年』はポスターにもなっているので探すのは簡単だと思いますが、
『花咲くマロニエの枝』については、ここでは画像は貼りつけませんので、
是非展覧会会場で探してみてください!

展覧会ポスター

展覧会ポスター

ちなみに、
「ビュールレ・コレクション」は、
2020年にスイスにあるチューリヒ美術館
全コレクションが移されることが決まっています。

そのため、
「ビュールレ・コレクション」というくくりで、
これらの絵画を見ることができるのは、今回で最後となります。

そういう意味でも、
今回の展覧会は見に行く価値があるものだと思います。

印象派とは

「ビュールレ・コレクション」の絵ではありませんが、
「印象派」という名称が生まれたきっかけとなった一枚の絵を紹介しましょう。

印象、日の出

印象、日の出(https://www.musey.net/455より転載)

この絵は、「睡蓮」で有名なクロード・モネが描いた絵で、
印象、日の出』というタイトルです。

この絵を見た批評家が、
印象?いやむしろ印象しかない。描きかけの壁紙のほうがよっぽどましだ
と酷評したことから、「印象派」という言葉が生まれたのです。

つまり「印象派」というのは、元々は悪口だったのです。

そういうわけで、
この『印象、日の出』のような絵画のことを印象派絵画と言うのですが、
この印象派絵画の定義をハッキリと言葉で表すことはできません。

それでもなんとなくのイメージを持つために、
『巨匠に教わる絵画の見かた』(視覚デザイン研究所編/1996年)より、
参考になりそうな箇所を引用してみます。

印象派の画家たちは、実際に見えたものを忠実に描こうとした。つまり、写実主義の流れのなかにいた彼らだが、新しい感性で外の世界を見ていた。ものの形よりも、光の変化や空気の震えといった一瞬の印象を再現しようとしたのだ。
※P82より引用

あとは、
印象派の画家が使う技法として、
色彩分割法」というものがあります。

これは、
絵具を小さなタッチでカンバスに置くような描き方で、
先程紹介した『印象、日の出』を見ても、
筆を「とん、とん」と置くように描かれているのがわかると思います。

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『至上の印象派展 ビュールレ・コレクション』の見どころは?

今回の展覧会で、必ずしっかり見ておきたい3枚の絵を紹介します。

もちろん、他の絵もなかなか見られない貴重な絵ばかりですので、
油断せずにひとつひとつ見ていくことをオススメします。

それに、
絵なんて結局個人の好みで「好き」「嫌い」を判断すべきだと思います。
そういう意味では個人個人で見どころは違って、
見た後に心に残った一枚はそれぞれ違って当たり前です。

だから、
見どころなんてあんまり意味がないようにも思えるのですが、
強いて言えば、
この3枚ぐらいはちょっと落ち着いて鑑賞してみたらいいのではないか
と思うものをピックアップしてみたので、
展覧会を鑑賞する際の参考にしてみてください。
あくまでも参考に。。。(くどいですね)

『イレーヌ・カーン・ダンヴェール嬢(可愛いイレーヌ)』

可愛いイレーヌ

可愛いイレーヌ(http://www.buehrle2018.jp/highlightsより転載)

ピエール=オーギュスト・ルノワールが、
今回の展覧会のポスターにも使われているこの絵を描いたのは、
1880年から1881年にかけてです。

モデルは裕福な銀行家ルイ・カーン・ダンヴェールの
三人の娘のうちの長女イレーヌ、当時8才。

ルイ・カーン・ダンヴェールは、
当時は数少なかったルノワールの理解者でした。

幼いながらも清潔で上品な顔立ち、繊細に描写された赤毛の頭髪
膝の上で軽く組まれた子どもらしい小さな手、少女を引き立てる深い緑の背景
この辺りが見るべきポイントと言われることがあります。

しかし、
そんなことは知らなくても、
この絵はの少女は誰が見ても“可憐だ”と感じるでしょう。

この少女の何がこんなにも“可憐だ”と感じさせるのか?
このあたりを、絵をじっくりと見ながら考えてみるといいと思います。

『赤いチョッキの少年』

赤いチョッキの少年

赤いチョッキの少年(http://www.buehrle2018.jp/highlightsより転載)

こちらの絵も今回の展覧会のポスターに使用されています。

ポール・セザンヌがこの絵を描いたのは1888年から1890年にかけてです。

セザンヌは、モデルのこの少年を、同じ服装で4回も描いています
今回展示される作品はその中のひとつというわけです。

単純な形で仕切られた、赤、茶、青、白の色面」、
「一度使った同じ色を他の場所でも使うことで色幅を制限して生み出した調和」、
「互いに影響し合う、交差する何本もの斜めの線」、
こういった少しテクニカルな小難しい部分が見るべきポイントとされています。

先程の「可愛いイレーヌ」と違い、
こちらの絵画は少し感想を持ちにくいかもしれません。

そういう場合は、
「なんか右腕長くね?」
「体勢辛そうじゃね?」
「これはきっと4回目に描かれた絵だな、だって顔がもう飽きてるもん」
というように、
適当にイジれるポイントを探して鑑賞すると、
意外と見えてくるものがあります。

「確かに態勢は辛そうだけど、
なんとなく絵としてバランスはとれてる気がする。
あ、これがもしかして斜めの線の効果なのか?」
という感じです。

ちなみにこの絵画は、
ピカソのキュビズム作品への道を開いた作品と言われています。

ピカソの絵を思い浮かべて、
絵の構成に似た部分はないかを探してみるのも面白いかもしれません。

『睡蓮の池、緑の反映』

睡蓮の池、緑の反映

睡蓮の池、緑の反映(http://www.buehrle2018.jp/highlightsより転載)

こちらは有名なクロード・モネの「睡蓮」の絵です。
1920年から1926年に描かれました。

実は、
モネの「睡蓮」は200点以上もあります

だから、
「もうモネの睡蓮は見飽きたよ」
と思うかもしれませんが、
今回展示される『睡蓮の池、緑の反映』は、
今までスイス国外に出たことは一度もありません

(スイスで見た人を除く)日本人がまだ見たことがない「睡蓮」なのです。

高さ2メートル、幅4メートルの絵画で、かなりのサイズがありますから、
見ごたえ充分な一枚だと思います。

今まで見てきた「睡蓮」が、「なんかイマイチ」と感じてきていたとしても、
今回の「睡蓮」は「ちょっとイイ」かもしれませんよ!

余談ですが、
モネは「睡蓮」を、
フランスのノルマンディー地方のジヴェルニーという場所に移り住んでから、
数多く描くようになりました。

原田マハさんの『ジヴェルニーの食卓』という小説で、
「睡蓮」ばかり書くモネの様子が描かれています。
興味があれば読んでみると面白いと思います。

『至上の印象派展 ビュールレ・コレクション』の開催情報

最後に、
最初に開催される東京開催の、
展覧会の開催情報をまとめておきます。

開催されている期間は、
2018年2月14日(水)~5月7日(月)
です。

開館時間は、
午前10時~午後6時で、入場は閉館の30分前までです。

ただし、
毎週金曜・土曜と、
4月28日(土)~5月6日(日)は午後8時まで開館しています。
この曜日と期間だけ、ちょっと長めに空いているということですね。

休館日は、
毎週火曜日
です。

ただし、
5月1日(火)だけは開館します。
上記の期間内なので、午前10時から午後8時までですね。

開催場所は、
東京都の六本木、
国立新美術館の企画展示室1Eです。

国立新美術館の場所は以下の地図で確認してください。

電車だと、
東京メトロ千代田線乃木坂駅の青山霊園方面改札6出口が美術館直結です。

都営大江戸線六本木駅7出口からは、徒歩約4分で、
東京メトロ日比谷線六本木駅4a出口からであれば、徒歩約5分です。

東京での開催後、
2018年5月19日(土)~7月16日(月)までは福岡県の九州国立博物館で、
2018年7月28日(土)~9月24日(月)までは愛知県の名古屋市美術館で
展覧会が開催
されます。

福岡県と愛知県での開催の詳細は公式HPを参照してください。

チケットは、
一般の当日券が1600円
一般の前売り券が1400円です。

購入できるのは、

・チケットぴあ
・ローソンチケット
・イープラス
・CNプレイガイド
・楽天チケット
・コンビニ店頭
(セブン-イレブン、サークルK・サンクス、ローソン、ミニストップ、ファミリーマート)

です。

あとはhttp://www.e-tix.jp/buehrle2018/#goods2オンラインチケットサイトからも購入可能です。
⇒販売は終了しました。

   
さて、ここまで今回の展覧会について色々とまとめてきました。
これぐらいの予備知識をもっていけば、
必ず展覧会を楽しめると思います!

是非足を運んで、アカデミックで楽しい時間を過ごしてくださいね!

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