大ヒットしている『グレイテスト・ショーマン』、
最高に良い映画でしたよね。
前評判通り音楽がとても良くて、
その音楽に合わせたダンスなどの演出も、
カッコ良くキマっていました。
ミュージカル映画として、
完成度の高いものだったと思います。
大枠のストーリーはベタでしたが、
扱っている内容が「フリークス」など、
少なからずデリケートなものだったので、
全体の内容としてはバランスが取れた、
観る側が世界観に入っていきやすい
ものだったのではないでしょうか。
ところで、
私も観るまでは全然知らなかったのですが、
『グレイテスト・ショーマン』は、
実話を元に作られた伝記映画としての側面もあります。
史実と映画とで、
主人公P・Tバーナムの生涯を比較した記事は、
P・T・バーナムとは?「グレイテスト・ショーマン」を史実と比較!
ですでに書きました。
今回はP・Tバーナムではなく、
彼が率いたサーカスの団員「フリークス」について、
映画で登場したキャラクターのうち、
実際に存在した人物についてまとめていきたいと思います。
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実在したフリークス
それでは早速、
映画に登場したキャラクターの中で、
実在した人物について簡単にまとめていきます。
チャールズ・ストラットン
映画で、
バーナムが一番最初に仲間にしたのが、
小人症のチャールズ・ストラットンでした。
彼は「親指トム将軍」という名で親しまれた実在の人物です。
ただし史実では、
バーナムが興行師として初めて売り出したのは、
ジョイス・ヘスという女性でした。
彼女は、
初代大統領ジョージ・ワシントンの元乳母で、
160歳を超えているという触れ込みで売り出したのですが、
実際は、死亡したときの年齢でさえ70歳を越えていませんでした。
年齢については、
親指トム将軍も偽っていて、
彼は確かに小人症ではあったのですが、
大人ではなく、
デビューした当時はまだ4-5才の子どもでした。
ちなみに彼は、
バーナムについて、
と語ったそうです。
アニー・ジョーンズ
「This is Me」
を力強く歌う姿が印象に残っているヒゲの女性は、
アニー・ジョーンズという多毛症の女性です。
彼女は赤ん坊の頃からバーナムの一座の一員でしたから、
バーナムとの出合い方は映画とは異なります。
ただ、
映画と同じように、優れた音楽家ではありました。
また、
彼女は「フリークス」という言葉を嫌っていて、
この言葉を使わないようにと、主張した人物です。
フェドール・ジェフティチュー
アニーと同じ多毛症の人物で、
フェドール・ジェフティチューという人がいました。
彼の場合は、
狼男症候群とも呼ばれる多毛症で、
ヒゲだけでなく、全身を毛が覆っており、
「犬面少年ジョジョ」という名で有名でした。
映画でも、
犬のような動きをしていましたが、
実際のジョジョも、
吠えたり唸り声を上げるパフォーマンスを行っていたようです。
ただし、
これは設定で、
「どんな文明の影響も受けていない未開人」
ということになっていたためで、
実際は、
3か国語を流暢に話すことができました。
また、
彼を捕まえたときの逸話として、
ロシアの古都コストロマ出身のハンターが、
彼と彼の父親(父親も同じ症状だった)を洞窟に追い込み、
長い格闘の末になんとか捕まえた、
というものがありましたが、
これはバーナムのでっち上げです。
チャン&エン・ブンカー兄弟
タイ出身のチャン&エン・ブンカー兄弟は、
結合双生児です。
結合性双生児の別名「シャム双生児」は、
ふたりの出生地である「シャム」に由来しています。
向かって左が兄のチャン、
右が弟のエンです。
ふたりは胸と腹の中間部分で向かい合わせに結合していますが、
結合部分がある程度伸縮するため、
横に並んで立つことができました。
結合部分に肝臓があり、
ふたりが共有していた内蔵はこの肝臓だけです。
映画には、
このチャン&エン・ブンカー兄弟役として、
小森悠冊(こもりゆうさく)さんが出演していますが、
小森さんは『グレイテスト・ショーマン』に出演する
唯一の日本人です。
サンディ・アレン
映画の中では、
巨人の男性が出てきますが、
実際にバーナムのサーカスにいたのは、
巨人症の女性です。
この女性サンディ・アレンは、
身長231cmで、
「世界一背が高い女性」
としてギネスブックに認定されていたこともあります。
ルカシー・ファミリー
映画に出てくる人物で、
肌から髪まで色の白い女性がいたと思います。
この女性は、
先天的にメラニンが欠乏する遺伝子の病気を持つ
「アルビノ」です。
アルビノは、
人体の一部を煮出して呪術に使われたり、
アルビノの女性と性交するとエイズが治るという迷信があったり、
差別、暴行、殺害の対象になってきました。
また、
人だけでなく、動物にもアルビノの個体が存在します。
フリーク・ショーで有名だったアルビノの家族に
「ルカシー・ファミリー」がいますが、
バーナムの一座に属していたかまでは確認できませんでした。
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映画に登場しないフリークス
ここまでは映画に登場するフリークスについて
まとめてきましたが、
映画にハッキリとは登場しなかった実在のフリークスは
他にもたくさんいます。
有名なところでは、
ルーシー・エルヴィラやエラ・ハーパーという女性は、
膝関節が通常と逆方向に曲がり、
「犬少女」や「ラクダ女」と呼ばれていました。
美女で人気があった
シャーロット・リンダ・ヴォーゲルは、
魚鱗癬(ぎょりんせん)という
皮膚が魚のウロコのように固くなる病気でした。
ファニーミリスという女性は、
先端巨大症で、足のサイズが43cmあり、
フィーリックス・ウェールレという男性は、
コラーゲン関連の奇病で、
皮膚のいたるところが伸びるゴム人間でした。
アイザック・W・スプラーグという男性は、
消耗症候群という脂肪が急速に消費されてしまう病気で、
身長167cm、体重はなんと19kgほどでした。
マーティン・ラウレロは、
首をフクロウのように180度回転させる事ができ、
スタンリー・ベレントは、
アザラシ肢症(ししょう)という病気で、
腕が短く、肩から手が生えているような姿、
ジョセフィン・マートル・コービンという女性は、
二臀体という症状で、脚が四本ありました。
本当にさまざまな人がいて、
それぞれ強く生きたんだ、
と尊敬の念を抱きます。
おわりに
想像していたよりも、
実在の人物が多くて驚いたのではないでしょうか。
「フリークス」を金儲けのネタにしたP・Tバーナムと、
これを題材にした『グレイテスト・ショーマン』に対して、
倫理的なモヤモヤがあるのは当然だと思います。
ただ、一方で、
他人と違う姿形で生まれてきて、
「私たちと違う」という視線にさらされながらも、
縮こまることなく、
自分らしく生きた人たちが確かにいたという事実を
この物語は語っています。
フリークスたちほどわかりやすくなくとも、
私たちはそれぞれ少しずつ違います。
その違いを誇りに持って、
「This is Me!」
と、叫びながら生きていくための
勇気を与えてくれる物語であることは、
否定できないのではないでしょうか。
◆主人公P・T・バーナムについてまとめた、
P・T・バーナムとは?「グレイテスト・ショーマン」を史実と比較!
◆映画の評価・感想をまとめた、
『グレイテスト・ショーマン』の評価・感想を3つの視点から語る!
◆映画で使われた名言について書いた、
『グレイテスト・ショーマン』ラストに表示されるP・Tバーナムの名言
◆「バーナム効果」についてまとめた、
バーナム効果とは?『グレイテスト・ショーマン』のバーナムが由来?
も是非読んでみてください!
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初めまして、もとこと申します。
映画「グレイテスト・ショーマン」を何度も観ました! 映画の中のセリフではありませんが、何度観てもその都度新しい発見があり、見終わったあとは毎回涙で目が乾いてしまうほどでした。
繰り返し観るうち、映画に登場していた団員たちのことがとても気になり、調べてみたところ、この記事に辿り着きました。
トムやレティだけでなく、「映画に登場しないフリークス」の名前まで書かれていて驚きました! 「DOG BOY」は映画ではウォルターと呼ばれていましたが、あれはフィクションの名前だったのですね。
私も自分で団員たちのことを調べてみたいのですが、なにかサイトや書籍などを参考になさったのでしょうか? もしも参考文献やURLがありましたら、ぜひ教えていただきたいです。
はじめまして。
管理人のkumaです。
コメントに気づかず、返信が遅くなってしまい、申し訳ありません。
もとこさんと同じように、私も映画にとても感動し、
観終わった後に「フリークス」のことが気になって調べ始めました。
調べれば調べるほど、たくさんのフリークスがいたことがわかってきて、
すべてを把握することは不可能だということがわかりました。
そのため、調べられた範囲内で、写真が残っている、本に書かれている、などから判断して、
可能な限り誤りがないように配慮してまとめたのがこの記事です。
すべてを調べつくしたわけではありませんから、
もしかすると「DOG BOY」も「ウォルター」という名の実在の人物がいたかもしれません。
私の調査ではそこまではわかりませんでした。
申し訳ございません。
この記事を書くにあたって参考にしたものは、
もとこさんが仰る通り、サイトと書籍です。
書籍で参照したことを覚えているのは、
『なぜハーバード・ビジネス・スクールでは営業を教えないのか?』です。
この本の中の一部にバーナムの話が載っています。
この部分はgoogleブックスで無料で参照することができます。
参考文献として記録に残していなかったため、その他参照したサイト、書籍は覚えていません。
申し訳ございません。
ただ、もとこさんも相当お調べになったと思いますので、
おそらく、見ているサイトはほとんど同じかと思います。
私の場合は、検索ワードを「バーナム」から切り離して、
「フリークス」だったり、個人名だったり、芸名だったり、
そういったものもひとつひとつ個別に検索して、
1ページ目に表示されたサイトのほとんどすべてに目を通して書いています。
もし、気になったフリークスがいたら、このようにして検索してみていただけたらと思います。